2005年06月23日

【 フライフィッシング 】雪代明けの幻想 / 新潟

サッカーのワールドユース開幕戦を見ていたらすっかり出発が遅くなってしまった。今日の目的、新潟にある魚野川の支流までは一般道で約250キロの距離、真夜中なら5時間ぐらいで行けるが、すでにすっかり明るくなってしまったこの時間からでは、もっとかかるだろう。やれやれ、と思いながらも試合を見ながらまとめていた荷物を車に放り込み、走り出す。

気温はあまり高くないが、いつもより湿気を多く含む風が吹き抜ける。日本の南海上を通過中の、季節外れの台風4号の影響だろう。まったく自慢にはならないが、6月から10月にかけてどこか遠出しようとすると、必ずと言っていいほど台風が近寄って来る。ここまで毎回のように続くと、もうこれはあたり前の事のようで、自虐的な気分になる。それでも、今回は直撃しなかっただけ、まだましといえる。

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国道16号線を北上する、土曜日の朝だと言うのに大型のトラックも多く、気分はあまりすっきりしない。埼玉県内に入り407号線から254号線へと抜け、群馬県に入ると県道13号線で前橋市内を通過する。毎年走っている道なので、地図は確認のためにたまに見る程度ですむ。前橋市内からは国道17号線をひたすら走るだけだ。

眠気覚まし用のドリンク剤で、何とか保っていた緊張感も沼田を過ぎるあたりで怪しくなり、月夜野の近くで仮眠をとる。しばらくは気持ちよく眠れたが、暑さで目が覚める。厚い雲がかかっているが、薄日がさすだけでもかなり蒸し暑さを感じる。

まだ、ぼうっとしていたがコンビニで買ったブラックコーヒーをごくごくと飲みほし、気を取り直しまた走り出す。猿ケ京に近づき雨脚が強くなるなかを、くねくねとした峠道を登っていく。
三国峠のトンネルを抜け新潟県内に入ると、相変わらず曇ってはいるが、雨はあまり降っていなかったようだった。群馬側の狭い道とは違い、新潟に入ると道が広く開放的な風景と変わり、残り30キロ程度の道のりはリラックスした気分で通り抜けられる。

行きつけの田畑屋に着いたのはすでに2時近くだった。ここの「へぎそば」を食べないと新潟まで来た意味がないと言っても良い。中をのぞくと友人たちが見えた。毎年この時期に集まるメンバーだ。それぞれ会うのはしばらくぶりなのだが、そんな感じはしない。
皆はすでに食べ終わっていたので、一人で田畑屋セットを注文する。ここのメニューはボリュームたっぷりでとても美味しい。「へぎそば」はこのあたりの名産物で、つなぎに布海苔を使い、ツルッとした食感が特徴。ボソッとした田舎風そばとは、また違った味わいがある。

ヤマダさん、イズミヤさん、コウムラさんの3人が、早起きして採ってきてくれたネマガリダケの"皮むき"を終え、イブニングの釣りの算段をする。モトヤマさん、タクノさん、カシオさんの3人は、魚野川本流で大物狙いのようだ。バンドウさんと僕は支流に入る事にした。

支流の様子を見て回る。雪代の影響はまだ残り水量は多めだが、何かが起こりそうな予感はあった。新潟など日本海側の雪が多い地域では、渓流が春を迎えるのは遅い。あたりの景色は春から初夏を迎え、青白い雪代の太い流れが、透明で穏やかな流れに変わる直前に、渓の生命は爆発的に活動を始める。

いつも入るあたりに車を止め、ウェーダーを履き、先日手に入れたバンブーロッドを繋ぐ。そしてティペットにフライを結ぶ頃には、すでにバンドウさんは、300メートルぐらい先まで釣りあがっている。上手い人は、準備もやたらと早いものだ。
僕はちょっと下流に歩いていき、適当なところから川原に降りた。この辺りの川岸は人工的な護岸に被われていて、200メートルおきぐらいに背丈ほどの高さの堰堤が続いている。何とも味気ない風景ではあるが、大きな石がごろごろと転がっていて、イイ水が流れている。

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堰堤上のとろ場を眺めると、中型の白っぽいメイフライのハッチが始まり、小さな波紋が広がっている。僕は14番のCDCダンにフライを結び換え、ライズの1メートルほど上流に静かにその毛針を落とす。ライズがあったあたりを通過すると、フライは音もなくスッと水面から消える。一瞬間をあけて、軽く竿を持ち上げ合わせる。その瞬間、ぐぐっと心地よい重みを感じ、竿先が引き込まれる。25センチほどのイワナだった、雪代に洗われた白っぽい魚体が美しい。ここでは、同じようなサイズの魚が5匹釣れた。
堰堤下のプールに移動すると、流心で弾けるようなライズが繰り返されている。フライを白っぽいソフトハックルに交換。毛針を少し水に馴染ませて、タイミングを見計らい流心を少しだけ沈めて流す。バシッという音とともに水面が弾ける。
今度の魚はさっきのよりも大きい、プールに沈む大石に向かってぐぐっと竿が引き込まれる。何とか引きずり出すようにして寄せてきた魚は33センチのイワナ。この魚はさっきのとは違い、体色が黒っぽく腹がオレンジ色の、いかにも居着きといった野性的な表情をしている。
車に戻ると、バンドウさんもちょうど戻ってきたところだったが、その表情はとても満足そうだ。
最後に、明るいうちに見に行っていた取水堰堤上のプールに行く。
だいぶ暗くなった空を見上げると、いつの間にか無数のメイフライのスピナーが舞っている。こんなすごいスピナーフォールは久しぶり。まるで霧がかかっているように見えるほどの量だ。
僕はすでに満足していたので、上からバンドウさんの様子を眺めている。しばらくすると流心の向こう側の巻き返しで、ポツッと小さなライズが始まっている。
バンドウさんは、しばらくそのライズを観察し、慎重にフライを落とし大きなメンディングを入れる。フライはまるで生命が果て水面に力なく浮かぶスピナーの様に自然に浮かんでいて、ふっと消える。こいつは大きい、、、バンドウさんのスコットG823/4が大きく引き込まれる。下流に走った魚は大きな石の下に潜り込もうとし、必死に耐えるバンドウさん。5分ぐらいそんな状態が続いて「あっ」という声が渓流に響き、気付くと竿はまっすぐに戻っている。

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「ユージさん、そろそろ起きたら〜」という声で目が覚めた。

そうだった。地元のヤマダさんのお母さんが作ってくれたネマガリダケの料理、コウムラさんの絶妙な山菜の天ぷらをたらふく食べ、イズミヤさんが持ってきた美味い酒を飲み過ぎていつの間にか眠ってしまったんだ。

僕はふらふらとトイレのほうに歩きながら、やっぱり夢か、と一匹も釣れなかった今日の釣りを振り返ったのだった。
まあ、夢でも釣れれば良いか。

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写真上:高さ10メートルの大堰堤の脇に増設された魚道。水がまともに流れているのを見た事がない。無意味な公共工事の一例。 / 写真下:翌日の帰り道で見かけた不思議な現象。

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posted by yuji at 16:21| Comment(7) | TrackBack(0) | FF / アウトドア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
何だ、夢だったのね!!

独りだけ、爆釣したんかと思った(笑)
何か、空梅雨ですし、少し暑くなりすぎる気がしますね。。。。
Posted by イズミヤ j at 2005年06月23日 17:30
うーん。自分だけはしっかり尺を釣り上げてる、素晴らしく自己中なユメですねー。(笑)

実は写真も念写だったりするの!?(爆)
Posted by zari at 2005年06月23日 18:07
Jさん、Zさんどうも。
そもそも自己中じゃない夢って、、、あるの?
写真は夢の中に出てきたバンドウさんなので、
実物よりはカッコ良く写っていると思います(笑)
Posted by yuji at 2005年06月24日 00:00
ゆうじさん、とむです。
よくかけていますねー、私も最後まで本当の釣日記かと思っていました。魚がつれたこと以外(ごめんなさい)はかなり現実味をおびているからそのほかのことは本当にあったことなのかな?それより、最近バンブーにはまっているんですね。スコットGは日本では使わないんですか?
私にとって日本でのフライフィッシングは風情や趣をたのしむようにみえます。本当に小さい沢みたいなところできれいなお魚を相手にして.....。
Posted by とむ at 2005年06月25日 06:03
とむさん、どうも。
実際あんな釣りができそうな場所なんですが、
ちょっと早かったようです。
まだ雪代で水が多かったんですよね。
国内では2日間わずかな時間しか釣りをしてないので、ロッドは持て余している感じ。日本にはいるものの感覚的にはオフシーズンです。
Posted by yuji at 2005年06月27日 15:26
yujiさん、どうも。
それに似た状況を去年味わったような気が・・・(笑)
それとその夢って「俺のScottを買え」って言ってるような気も・・・(爆)
最近、イワナはご無沙汰でヤマメばかりのBlue Backでした。
Posted by バンドウ at 2005年06月27日 22:45
絶好調のBさんどうも。
イワナ好きのBさんは何処へ?
えーと、スットコについては、JさんもBさんもその気がないようでしたので、処分済みです。
Posted by yuji at 2005年06月27日 23:44
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