2005年06月20日

【 写真をめぐる旅 】東京を撮る / 片岡義男

片岡義男といえば、1980年代にとても売れていた作家、そして角川映画。そのころ読んだことがあったような気もするのだが、この程度の知識しか持っていなかった。
だから、書店で彼の撮った写真集を見かけたときも、最初は「あれっ、片岡義男って誰だっけ?」とすぐには作家の片岡義男とは結びつかなかった。

僕の手元にあるのは「東京のクリームソーダ」という本。出版社が倒産してすでに絶版になってしまっている。
この中で登場するのは、おもに東京の下町といえる場所。
まず、僕自身も歩き回ったことがある場所も少なからず含まれている、ということでとても興味が持てた。
それと、彼が撮る写真は、東京によくある風景のようだが、切り取り方が独特でおもしろい。
しかしながら「スタイリッシュで、かっこいい男と女が登場する小説」という、僕の持っていた彼の小説に対する貧困なイメージと、これらの写真はどうしても結びつかなかった。

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写真:トークセミナーが行われた吾妻橋のアサヒビールの建物、通称"う*こビル”

先日、雑誌 " Coyote (コヨーテ) "主催の「風景を撮る、東京を撮る」という片岡義男さんのトークセミナーに参加してきた。
編集長の新井氏と片岡さんの対談形式で、彼の写真と東京について語る、という内容であった。

片岡さんの小説は、どこかリゾート地のような場所が舞台になっていることが多い、という勝手なイメージを持っていたので、東京に愛着を持って、写真を撮り続けていることは意外だった。
商店街に架かる提灯、飲食店の店頭にかざられるサンプル、映画のセットのようなひなびた飲食街の路地、意味不明な案内看板、なにか意味ありげな番地の表示、店頭に貼られる女性タレントのポスター、などの面白さについて語られる。

その中で、編集者の人が構成したスライド・ショーは、とても秀逸だった。ある意味、すべて表現していたといっても良いかもしれない。現実にある(または、あった)東京の街並は、ひどく"非・現実的"な光景として映しだされていた。それは、サウンドトラックとして流れていたジャズのせいかもしれないが、どこか違う世界の写真のようにも感じた。

「様々な色・形・素材の重なり合いを、ある角度からある画面で切り取ること」「ある美学に基づいた構成こそが重要」という趣旨のことを言われていたように記憶している。
コラージュとして平面に記録された"作り物のような"リアリティのない風景。これは東京という街の本質ではないか、と納得してしまった。
また、現在興味ある写真家として、ステファン・ショアをあげていたのも、なるほどなと思った。

写真と文章の間の結びつきはない、と言っていたが、片岡義男の昔の小説も少し読んでみたくなったし、またひさしぶりに東京の街を歩いてみたくなった。

<片岡義男の写真集>
● 東京を撮る
● 東京22章 - 東京は被写体の宝庫だ。
● ホームタウン東京 - どこにもない故郷を探す

<関連書籍>
● Uncommon Places / Stephen Shore
● コヨーテ 2005年7月号
● Pictures from the Surface of the Earth / ヴィム・ヴェンダース

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posted by yuji at 01:03| Comment(7) | TrackBack(2) | 写真/本をめぐる旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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